導入したのに使われない

導入研修をやったのにツールが使われないときの立て直し方

導入研修をやったのにツールが使われないときの立て直し方

導入時にはベンダーを呼んで丁寧な研修をした。マニュアルも作った。

それでも3か月後、ツールを開いているのは一部のメンバーだけ。

「研修が足りなかったのか」と2回目の全体研修を企画する前に、立ち止まってください。

問題は研修の量や質ではなく、タイミングの設計にあります。

なぜ導入時の研修は消えるのか

導入時の研修には、構造的な弱点が2つあります。

実務の文脈がない状態で聞いている。 導入時点の受講者は、まだそのツールで自分の業務を回していません。

「案件を登録して、ステージを動かして」と説明されても、自分のどの案件をいつ登録するのかが結びつかない。文脈のない知識は2週間で消えます。

つまずきが出るのは、運用開始後である。 実際の疑問(この場合はどっちの項目に入れる? この案件はどのステージ?)は、使い始めてから生まれます。

そのとき研修は終わっており、聞く場がない。聞く場がないと自己流かExcel回帰が始まります。

カスタマーサクセス領域の調査でも、立ち上げ期の設計の重さは裏付けられています。HiCustomer「カスタマーサクセス白書2023」(2023年4月実施、有効回答n=203。CSツールベンダーの自社調査で、相関であって因果ではない点に注意が必要ですが、方法論と母数が開示されています)では、最も優先度の高いKPIに寄与した施策の1位が「オンボーディングプロセスの見直し」で25.1%、2年連続の1位でした。

解決策: 研修を3回に分割する

同じ総時間でも、配分を変えるだけで定着は変わります。

導入時(全体の3割): 最小限だけ教えます。

ログイン、日常業務で毎日触る操作、困ったときの質問先。この3つで止めます。

機能の全網羅は、忘れられるだけでなく「難しそう」という印象を植え付けます。

2週間後(全体の4割): ここが本番です。実際に使い始めて出たつまずきを集めて、それに答える会にします。

事前に「入力に詰まった場面を持ってきてください」と宿題を出すと、参加者の実データで進められます。

この時点の疑問は文脈があるので、一度で定着します。

1か月後(全体の3割): 運用データを見ながらの補正です。

入力率の低い項目、使われていない機能を特定し、原因を聞き、設計側を直すか使い方を直すかを決めます。研修というより、設計の答え合わせです。

よくあるつまずき

  • 2回目以降を「希望者向け」にする。 来ないのは、一番フォローが必要な人です。業務時間内の必須枠として設定してください
  • マニュアルの充実で代替しようとする。 マニュアルは「読めば分かる人」しか読みません。つまずきに答える場の代わりにはなりません
  • 定着をログイン率で測る。 開くだけなら定着ではありません。主要項目の入力率や、旧運用(Excel等)の残存率で測ってください

関連する記事

研修の回数を足す前に試すべき打ち手は、マニュアルを作るより、週次会議の議題を変えるほうが効いたにまとめています。

同じ悩みの記事は「導入したのに使われない」にまとめています。