導入したのに使われない
稼働後2週間のフォローを「質問受付」にすると、定着は止まる
CRMの稼働日を迎えて、プロジェクトを解散した。「質問があればチャットで聞いてください」と案内も出した。
2週間後、質問はゼロ。そして入力もほぼゼロでした。
質問が来ないのは、うまくいっているからではありません。聞くより避ける方が楽だからです。
稼働日は、プロジェクトの終わりではない
導入と定着は別の仕事です。ここが混同されると、プロジェクトは稼働日で解散し、フォローは「質問受付」という名の放置になります。
現場の疑問は、使い始めてから生まれます。この案件はどのステージに置くのか。この項目は誰が埋めるのか。疑問が出た瞬間に聞く場がなければ、現場は自己流で埋めるか、慣れたスプレッドシートに戻ります。
そして最初の2週間で、「使う習慣」か「避ける習慣」のどちらかが固まります。避ける習慣が固まってから研修をやり直しても、巻き返しに数倍の力が要ります。
立ち上げ期の設計がどれだけ効くかは、外部調査でも裏付けがあります。HiCustomer「カスタマーサクセス白書2023」(2023年4月実施、有効回答n=203。CSツールベンダーの自社調査で、相関であって因果ではない点には注意が必要です)では、最優先KPIに寄与した施策の1位が「オンボーディングプロセスの見直し」で25.1%、2年連続の1位でした。立ち上げ直後の設計は、その後のどの施策よりも順位が上に来ています。
稼働後2週間でやることは3つ
質問を待つのではなく、こちらから見に行きます。
1. 入力データを毎朝10分見る。 誰が入力していないか、どの項目が空のままか、どのステージで案件が止まっているか。聞かなくてもデータが教えてくれます。質問ゼロで入力もゼロなら、それが最大のSOSです。
2. 詰まりは48時間以内に直す。 空欄が続く項目は、要らないか、入力のタイミングが業務に合っていないかのどちらかです。項目を消す、選択肢を減らす、入力を既存の会議に組み込む。小さく直して、すぐ反映します。大きな改修は要りません。
3. 2週目の終わりに「直したこと」を現場に返す。 「この項目は皆さんの声で消しました」と伝わると、現場は「言えば変わる」と学習します。これが3週目以降の入力を支えます。黙って直すと、直したことすら気づかれません。
稼働後2週間は質問を待つ期間ではなく、入力データを毎日見て、詰まりを見つけて直しに行く期間です。プロジェクトは稼働日ではなく、習慣がつくまで終わりません。
稼働日でプロジェクトを終えず、少なくとも2週間、毎朝データを見る担当と、48時間で直す権限を残してください。それだけで、3か月後の景色が変わります。
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稼働前の研修設計と、この稼働後2週間はひとつながりなので、導入研修をやったのにツールが使われないときの立て直し方をあわせて読むと全体がつながります。同じ悩みの記事は「導入したのに使われない」にまとめています。