商談が進まない・受注が読めない
初回商談で「課題は何ですか」から始めるのをやめました
初回商談の冒頭で「現在どのような課題をお持ちですか」と聞くのをやめました。
相手はその質問に、こちらに会う数週間前に答え終えています。しかも答えた相手は、営業ではなく生成AIです。
聞く順序を入れ替えてください。初回商談で先に取るべきは、課題ではなく相手の社内の進み具合です。
相手は、会う前に課題を整理し終えている
IDEATECHと北川裕康氏(デマジェン総研、元Microsoft業務執行役員)が2026年3月23日から26日に実施し、同年4月16日に公表した共同調査(有効回答307名)の数字があります。
営業担当者やベンダー担当者と初めて本格的にやり取りした時点で、「解決すべき課題の明確化」が完了またはおおむね進んでいたと答えた人は70.4%でした。候補企業のリストアップも49.5%が同様に進行済みで、購買プロセス全体の進捗度は営業接触時点で平均約4割に達しています。
さらに、検討プロセスでAI検索・生成AIを何らかの場面で使ったと答えた人が**91.2%**います。用途の上位は「各ベンダーの特徴や評判を比較するため」47.6%、「業界の導入トレンドや相場を調べるため」46.9%、「RFI・RFPの項目を整理するため」32.6%でした。
この調査の対象は、直近12か月以内に年間契約金額または一括導入費用300万円以上のB2B商材の購買に2名以上で関与した会社員・経営者に限られます。日本のB2B購買全体の代表値ではなく、大型案件に限った値です。IDEATECHが自社のリサーチサービスの販促として実施した調査でもあります。
それでも、方向は明確です。「課題は何ですか」という質問は、相手が数週間前に自分で整理し終えた話を、口頭でもう一度なぞる依頼になっています。
それでも初回商談で候補は入れ替わっている
同じ調査に、営業側にとって決定的な設問があります。
営業担当者やベンダー担当者からの接触をきっかけに初めて知り、検討候補に加えた企業が「あり、最終候補にも残った」と答えた人が34.2%、「あり、途中で候補から外れた」が38.8%。8割超が営業接触を機に新しい候補を足しており、そのうち約5割が最終候補または発注先になっています。
一方で、最終的な比較検討段階に残る社数は2〜3社が約7割(1社のみで比較せず決定が6.8%、2社が35.8%)です。
つまり初回商談は、課題を聞く場ではありません。すでに出来上がっている比較表に、自社を後から載せられる唯一の機会です。席は2つか3つしかなく、そのうち1つは接触時点で埋まっていません。
順序を入れ替えた5つの質問
Consilegyの初回商談スクリプトは、もともと「現状 → 課題 → 影響 → 理想状態 → 制約条件」の順で、稟議・決裁フローと他社比較の有無は最後の「制約条件」に置いていました。この2つを前に出しました。
- 今日は何を持ち帰れたら成功ですか:相手の期待値を先に固定します。ここがずれたまま進むと、良い会話のまま次が無くなります
- 本日ご参加の方は、それぞれどういう役回りですか:決裁者か、実務担当か、情報収集か。3つのどれかで、この後の40分の使い方が変わります
- すでに比較されている会社はありますか。何で比べていますか:候補から外した理由の上位は「自社の課題に対応する機能が不足していた」39.1%、「自社の企業規模に合わないと感じた」34.5%、「導入事例に自社と似た企業がなかった」26.4%です。比較軸を聞かずに標準デモを流すと、この3つのどれで外れたのかが分からないまま終わります
- 社内で決めるとき、どなたの承認まで必要ですか:同じ調査では承認段階が2段階の企業が60.9%、2段階以上が8割超、検討・意思決定への関与部門は2〜4部門で約8割です。初回で経路を聞いておかないと、2か月後に「情報システム部門の確認が入りまして」で止まります
- なぜ、今のタイミングなのですか:期限を作っている外部要因を取ります。ここが無い案件は、失注ではなく永久に検討中になります
課題の深掘りは、5番の後に置きます。順番を落としたのではなく、相手がすでに持っている答えを、こちらの仮説として先に置き、確認してもらう形に変えたという意味です。
初回商談で最初に聞くのは、相手の課題ではなく、相手が社内でどこまで進んでいるかです。
今週の初回商談を3件開いて、CRMに「比較検討中の他社」と「承認に必要な段数」が入っているかを見てください。空欄が続いているなら、記録が漏れているのではなく、初回商談でその質問をしていません。
商談の進み方を収益の構造としてどこで測るかは、レベニューアーキテクチャとはにまとめています。
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4番で聞いた承認経路を、そのまま相手の社内文書に変えていく手順は稟議のたたき台を営業が書いて渡すと、止まっていた承認が動くに書いています。初回で経路を取っておくと、この記事の打ち手が2回目の商談から使えます。
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