数字が部署ごとに合わない

勝率が落ちた原因は、古い勝ちパターンだった

勝率が落ちた原因は、古い勝ちパターンだった

半年前にうまくいった提案の順番を、営業チームはずっと同じ順番で使っていました。見直したことは一度もありません。四半期の受注率を並べて初めて、効かなくなっていたことに気づきました。

原因はトークの中身ではありません。その順番が正しいという根拠を、一度も測り直していなかったことです。

勝ちパターンは、作った瞬間の市場を写した静止画

「うまくいった提案の順番」や「効く比較表の出し方」は、最初にうまくいった数件の受注から抽出されます。抽出した時点では正しい判断です。属人化を防ぎ、新しいメンバーにも再現可能な型を渡せます。

ただし、そのパターンが正しかったのは、抽出した時点の市場条件のもとでの話です。競合の顔ぶれ、買い手の情報収集の仕方、決裁の通り方は、パターンを作った後も動き続けます。パターン自体は資料として固定されるので、更新しない限り、作った瞬間の市場を写した静止画のままです。

判断したこと:パターンに「賞味期限」ではなく「測り直す条件」を持たせる

見直しの方法として、社内で最初に出たのは2つの案でした。1つは、半年に1度、営業チーム全員でパターンをゼロから作り直す案。もう1つは、担当者の裁量でパターンから外れてよいことにする案です。

前者は採りませんでした。ゼロから作り直す作業は重く、結局「前回とだいたい同じです」で終わることが多いからです。作り直す理由が無いのに作り直すと、次から誰も本気で取り組まなくなります。

後者も採りませんでした。裁量に任せると、パターンから外れる理由が「なんとなく効かない気がする」という感覚に頼ることになり、次の担当者に引き継げません。

代わりに、パターンそのものに2つの数字を付けました。そのパターンに沿って進めた商談の受注率と、測り直す時点です。四半期ごとに、直近の受注率を最初にパターンを作った時点の受注率と並べます。並べるだけです。作り直すかどうかは、そこで初めて判断します。

結果:落ちたのはトークではなく、根拠にした比較対象だった

測り直してみると、パターンの中身自体は大きく間違っていませんでした。落ちていたのは、比較表で使っていた競合の並び順です。新しく増えた競合が、旧版の比較表には載っていませんでした。営業担当は気づいていましたが、比較表を作り直す権限も理由も無いまま、自己判断で古い表を使い続けていました。

勝ちパターンは作った瞬間から古くなり始めます。効いた根拠になった市場の側が動き続けるので、パターンには「いつ・どの数字で測り直すか」を最初から1行書いておく必要があります。 書かなければ、効かなくなったことに気づくのは、受注が落ちて誰かが気づいてからになります。

海外の数字ですが、Ebsta×Pavilionの「2024 B2B Sales Benchmarks」(商談420万件・530社の実データを集計、2024年公表)では、勝率が2021年比で27%、2022年比で18%低下したと報告されています(いずれも相対値)。日本のBtoBの数字ではありませんが、何もしなくても勝率は市場の側の変化で動くという傍証にはなります。パターンを固定したままにしていい理由にはなりません。

いま使っている提案資料や比較表を1つ選んで、最後に中身を見直した日を言えるか確認してみてください。言えなければ、それはまだ静止画のままです。

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パターンを測り直す条件と同じ考え方は、ダッシュボードの指標にも当てはまります。何個の数字が並んでいるかではなく、その数字がいくつになったら何をするかを決めているかどうかが分かれ目です。ダッシュボードを増やす前に、判断基準を1行決めるに書きました。

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