数字が部署ごとに合わない
経営会議の指標を3つに絞る前に、外す7つの持ち主を決める
経営会議の資料に並んでいた指標を、10個から3個に減らしました。
会議は20分短くなりました。ただし、この作業で時間がかかったのは残す3つを選ぶところではありません。外した7つをどこへ置くかでした。
そして3か月後、外した指標のうち1つが問題の形で会議に戻ってきました。
絞ると決めた後に止まるのは、残す側ではなく外す側
指標を減らす提案自体は、たいてい通ります。資料の説明に40分かかっていて、決まることが少ない状態は全員が自覚しているからです。
止まるのはその次です。「これは外しましょう」と言った瞬間に、その指標を毎月作っていた人が「では、これはもう見ないということですか」と聞きます。ここで返す答えを用意していませんでした。
見ないわけではありません。経営会議で見ないだけです。でもその違いは、言わなければ伝わりません。伝わらないまま資料から消えると、作る作業だけが残って、見る人がいなくなります。わりとよく起きます。
外した指標は消えません。置き場所が決まっていないだけです。
残す3つを決める基準は、重要度ではなく、この会議で動かせるか
最初は重要度で並べ替えようとして、うまくいきませんでした。重要度で並べると、全部重要だからです。解約率も、受注率も、パイプラインの総額も、重要でない理由がありません。
基準を変えました。この数字が想定を割ったときに、この会議に座っている人が予算・人員・優先順位のどれかをその場で動かせるか。動かせるなら残す。動かせないなら、動かせる人がいる場所へ移す。
この基準にすると、解約率は残りました。悪化したときに、経営会議は次の四半期の人員配置を動かせます。一方でメールの開封率は外れました。重要でないからではなく、この会議に開封率を動かせる人が座っていないからです。
残した指標には、判断基準を1行ずつ付けています。いくつを割ったら何をするか。書き方はダッシュボードを増やす前に、判断基準を1行決めるに書きました。この記事は、その反対側にある外した指標の話です。
持ち主を決めずに外すと、四半期末に問題の形で戻ってくる
外した7つのうち、3つは移し先を決めました。週次の営業会議に2つ、マーケティングの月次レビューに1つです。残りの4つは「ダッシュボードには残っているので、見たい人が見てください」で処理しました。
3か月後、4つのうち1つが止まっていました。商談が特定のステージに滞留している件数です。ダッシュボードには出続けていて、誰も開いていませんでした。気づいたのは四半期末の受注会議で、予定していた案件が想定どおり入らなかったときです。
「誰かが見るだろう」は「誰も見ない」と同じでした。
ファストマーケティング株式会社の「BtoBマーケティングに関する実態調査 2026」(調査時期2026年5月、有効回答432名、インターネットリサーチ)に、関連する数字があります。獲得した見込み客の結果を振り返る頻度を聞いた設問で、週1回以上振り返っている企業の受注目標達成率は84.8%、振り返りを実施していない企業は26.7%でした。同社はBtoBマーケティングの戦略支援を売る事業者なので自社調査として読む必要がありますし、レポート自身が相関であって因果ではないと明記しています。達成している企業ほど振り返る余力がある、という逆向きの説明も成り立ちます。
それでも、この設問が聞いているのは指標の種類ではなく「見る頻度が決まっているかどうか」です。外した指標に頻度が付いていなければ、頻度ゼロの側に入ります。
移すときに書き換えるのは、数字ではなく、その数字を見た人が明日変える行動
移し先を決めた3つのうち1つも、最初の1か月は見られていませんでした。週次の営業会議に置いたのに、開かれずに次の議題へ進んでいました。
指標の名前が経営会議のときのままだったからです。「商談化率」は経営が見たい粒度で、週次の会議に座っている人がそれを見ても、明日何を変えるかが出てきません。
「先週入った問い合わせのうち、5営業日以内に初回接触できていない件数」に置き換えたら、開かれるようになりました。同じ現象を測っていますが、見た人が明日やることが決まります。
移すという作業は、資料のページを別の会議に貼り替えることではありませんでした。誰が見るか、いつ見るか、見たときに何を変えられるかの3点を付け直すことです。この3点が付いていない指標は、どの会議に置いても開かれません。
採らなかった案が2つあります。1つは、外した指標ごとに小さな定例会議を作る案です。会議が7つ増えて、説明にかかる合計時間は元に戻ります。もう1つは、外した指標を月次のメール共有だけにする案です。共有はされますが、誰も読まないことを確認する仕組みがありません。
経営会議の指標を絞る作業の本体は、残す3つを選ぶことではなく、外す指標に持ち主とレビュー時点を付けることです。持ち主のない指標は消えるのではなく、四半期末に問題の形で会議へ戻ってきます。
直近で資料から外した指標を1つ思い出して、いま誰がいつ見ているか言えるか確認してみてください。言えなければ、その指標はまだ外せていません。
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外した指標を戻すかどうかを判断する前に、その数字が毎月同じ値で出ているかを先に確認する必要があります。同じ条件で開いたレポートの数字が変わる原因は先月報告した商談化率が、今月見たら変わっていたに書きました。
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